No.053 アブラハム契約① 無条件の祝福

No.053 アブラハム契約① 無条件の祝福

創世記12章1—3節
そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。(2-3)

主が、なぜアブラハムを選ばれたのかはわかりません。しかし、何のために選ばれたのかなら、はっきりしています。それは、アブラハムとその子孫から新たに「神の国」の流れを形成し、主の祝福を世界の諸民族に広げるためです。

この契約は、まず主がアブラハムとその子孫(イスラエル)を祝福するという約束から始まります。イスラエルは偉大な民族になります。アブラハムの名も偉大なものとなります。これは、主の一方的な恵みであり、必ず成就される無条件で永遠の約束です(17:7)。アブラハムとその子孫が永遠に祝福されるという約束は、誰も廃棄できないのです。

なぜこの契約は無条件で永遠なのか。アブラハムの子孫を通して、世界のすべての民族が祝福されるという神の国の計画は、絶対に成就されなければならないからです。「エデンの園」の喪失以来、アベル、セツ=エノシュ、ノアらによって神の国の回復が計られましたが、結局、サタンの勢力によって阻止されてしまいました。しかし、アブラハム契約による回復計画が頓挫することはありません。時が来れば必ず成就します。いわば、神の不退転の決意の表明です。

もう一つ、この契約の重要性は、この契約によって神の民イスラエルが創始されたことです。神は既存の民族を選ばれたのではなく、アブラハムとサラという一組の夫婦から、新たに神の民を創られたのです。そういう意味では、イスラエルは「選びの民」というより、「創られた民」というべきでしょう。また、この契約は永遠ですから、イスラエルが神の民であることも永遠です。それは、もちろん4000年経った今も変わりません。

神の民は、永遠に見捨てられません。イスラエルに対する「神の賜物と召命とは変わることがありません」(ロマ11:29)。ただし、イスラエルが神に反逆するなら、懲らしめを受け、国は滅び、苦難の中を通されます。そのため神に見捨てられたかのように見える時代もあります。しかも、それが長く続くこともあります。それでも、イスラエルは神の民であり続け、やがてイスラエルの「残りの者」の中から神に立ち返る者が起こされます。そして、彼らにアブラハムの祝福が回復されることになります。

ところで、私たちは非イスラエル人(異邦人)ですが、アブラハムと同じように、理由なく主によって選ばれ、キリストを信じる者になりました。そして、キリストを信じたことによって、信仰によるアブラハムの子孫(ガラ3:7)とされました。それゆえ、アブラハムと同じ祝福と召命を受けています。また、イスラエルの選びが不変であるように、私たちの選びも不変です。アブラハム契約は、私たちクリスチャンにとっても、永遠のいのちの保証です。途轍もない恵みと平安です。アブラハムの名は、契約のとおり、主を信じるすべての人にとって祝福なのです。