No.059 両者が住んだ土地が両者の明暗を決める

No.059 両者が住んだ土地が両者の明暗を決める

創世記13章12、13節
……ロトは低地の町々に住んで、ソドムの近くまで天幕を張った。ところが、ソドムの人々はよこしまな者で、主に対しては非常な罪人であった。
創世記14章11、12節
そこで、彼ら(四人の王たち)はソドムとゴモラの全財産と食糧全部を奪って行った。彼らはまた、アブラムのおいのロトとその財産をも奪い去った。ロトはソドムに住んでいた。

ロトの選んだヨルダンの低地は、生産性の高い肥沃な土地で、古代から文化が栄えていました。しかし、その分、人間の欲と欲、力と力がぶつかり合い、争いがくりかえされた土地でもありました。そこにはソドムという堕落した町がありました。ロト一家は、そのソドムに引き込まれるように天幕を移します。「ロトの選択」です。

一方、アブラムは主から、見渡す土地の全部を与えられるという約束を受け、ヘブロンに移りました。標高八百メートルの山地です。ヨルダン低地のように肥沃ではないし、水の確保も容易ではありません。深い井戸を掘らなければならないのです。

しかし、それらの不利にも勝る利点がありました。山地なので、堕落した文化の影響を受けず、欲と欲の争いに巻き込まれないということです。アブラムは、まず主のために祭壇を築き、主の御名によって祈りました。そこで神中心の生活をし、信仰を培っていくのです。「アブラハムの選択」です。

「ロトの選択」の結果は、ほどなく出ました。案の定、王たちが利権と食糧をめぐって争い、ソドムの王の属していた連合軍は戦いに敗れ、全財産と食糧を奪われたのです。ソドムの住人となっていたロト一家も、無事ではすまされません。略奪され、拉致されました。身は奴隷となる運命です。

人生は、たびたび分かれ道にぶつかります。そのとき、自分は「アブラハムの選択」をすると心に決めておくことは大切です。日頃、主を第一に歩んでいる人でも、仕事、結婚、住居などの選択になると、突然別人のように「ロトの選択」をしてしまうことが少なくないからです。そのために、主から離れ、不要なトラブルや不自由を抱え込みます。しかも、たいていの人は、自分が「ロトの選択」をしたとは認めたがりません。周囲の人も、それを指摘することはありません。事が大き過ぎて、もう取り返しがつかないからです。

ロト自身も、後の章でみるように、間違った選択をしたとは認めませんでした。主に立ち返って、最初から始め直そうとはしないのです。

神から離れて栄え、幸せそうな人たちを羨むことは、破滅の第一歩です。そういう人たちの仲間になることは、その二歩目です(箴24:1)。