No.060 主と契約を結んだ者としての偉大な行動
- 2020.05.18
- 三つのテーマで読む創世記(下)
創世記14章14-16節
アブラムは自分の親類の者がとりこになったことを聞き、彼の家で生まれたしもべども三百十八人を召集して、ダンまで追跡した。夜になって、彼と奴隷たちは、彼らに向かって展開し、彼らを打ち破り、ダマスコの北にあるホバまで彼らを追跡した。そして、彼はすべての財産を取り戻し、また親類の者ロトとその財産、それにまた、女たちや人々をも取り戻した。
ヨルダンの低地で王たちの戦いがありました。財産と食糧の奪い合い、支配欲、所有欲の衝突です。でも、ヘブロンの山地に住むアブラムには関係のない話です。
その争いに甥ロトの一家が巻き込まれました。ソドムに住んだロトの自業自得です。既にたもとを分かったアブラムには関係ないことです。アブラムはヘブロンで平安に祝福の道を歩んでもよかったのです。
しかし、アブラムはそうしませんでした。ロトが虜になったという報に接するや、迷わず行動を起こしました。しもべを集め、盟約を結んでいた人々にも加勢を頼んで、318人を動員しました。そして南のヘブロンから北のダン、さらにダマスコの北まで、ロト一家を虜にしていった王たちを追跡したのです。
戦いのリスクや犠牲を覚悟した上でのことです。ヘブロンに残した一族の女性、子供、家畜を危険にさらすことにもなります。敗れたらすべてを失います。それでも、アブラムは安全な山地から降り、遠征して王たちと戦いました。そして勝利し、ロトたちをはじめソドムの人々を救い出し、財産を取り戻してやったのです。
アブラムが戦ったのは、戦利品を獲るためではありません。自分を守るためでもありません。親族を助け出すためです。無条件に助け、祝福するのは、主と祝福の契約を結んだ者としての務めです。勝利は主から来る。それが契約を結んだ者の確信です。それゆえ、アブラムはロトやソドムの王らに見返りも報酬も求めてはいません。
主と祝福の契約を結んだアブラムは、損得勘定では動きません。祝福されている者として、祝福するために行動します。神の愛に促され、人としての愛を表そうとします。安全な山から下りて、犠牲を払って戦ったアブラムは、人となって降りて来られたキリストと同じ働きをしたのです。ここにアブラハムの偉大さがあります。
一方、助け出されたロトは、この痛い体験から何も学ぶことなく、以前と同じようにソドムに住み続けました。ソドムも以前のように堕落した町に戻り、その堕落をますます深めていきます。ロトは再び、自ら「選ばれていない者」の道を選び取り、選ばれていない者であることを自ら証明していくのです。
もし「自分は正しい道を歩んでいない」と気づき、悔い改めることができたなら、選ばれている者のしるしです。
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