『不登校・ひきこもりの9割は治せる』杉浦孝著(光文社新書)
- 2020.05.12
- 読書ノート
「読書ノート」を始めるご挨拶
これから個人の「読書ノート」によって、本の紹介をしていきます。
ただし、取り上げるのは、聖書の世界観や価値観、倫理観に立って書かれた本ではありません。お勧めの本というわけでもありません。単に、知識、情報としての「本の紹介」です。
また、本の要約、内容の箇条書き、一部分だけの抜き書き、感想など、紹介の仕方もまちまちです。
そして、ジャンルもまちまちです。
それでも、何かの役に立つとっかかりになればと思います。
杉浦孝著 『不登校・ひきこもりの9割は治せる』 光文社新書2019春
―――1万人を立ち直らせてきた3つのステップ―――
・内閣府の「ひきこもり調査」によると、ひきこもりの数は以下のとおりである。
15~39歳 54万1000人 (2015)
40~61歳 61万3000人 (2018)
■教育現場の指導者も政府も、不登校・ひきこもりに対して、危機感がなく、楽観的であり、問題を正面から解決しようとはせず、先延ばしにしてきた
不登校・ひきこもりの現場の指導者の多くは、「いずれ学校に行くようになる」「無理に刺激しないで本人の好きなようにさせておいた方がいい」という見方をしている。
スクールカウンセラーも、「そうなのね」と生徒を受容して肯定するか、心理学カウンセリングのマニュアル通りにするのみである。これでは先には進めない。。
川崎市登戸で、引きこもりの男(51歳)が、児童を刃物で襲い、2人が死亡、18人が重軽傷を負うという事件があった。また、元農林水産省事務次官の父親がひきこもりの長男(44)を刺し殺すという事件も起こった。この二つの事件に際し、菅官房長官、根本厚生労働相は「安易にひきこもりなどと結びつけるのは慎むべき」と発言した。ひきこもりの当事者や親を刺激しないように「そっとしておきましょう」と及び腰である。これでは何の解決にならない。
著者杉浦孝氏は、「引きこもりは放っておいてはいけない。早ければ早いほど立ち直りの可能性は高い」と主張する。
■不登校・ひきこもりになる原因
①父親不在
②条件付きの愛情 「いい成績をとったらほめる」など
③子供のやりたいことを考えて進路を決めるのではなく、大学合格そのものをゴールにしている。
その背後に、親の学歴信仰がある。引きこもりは、高学歴、エリートの親の子が多い。
④小さいころからの接し方の積み重ね
挨拶や礼儀、生活習慣がきちんとしていなくても許してしまう。父親が優しい。「別に、いいんじゃないの」と甘やかしすぎる。また、金銭的にも甘い。
■親の子供との接し方を正すことが大切である
①親(特に父親)が本気で向き合う
②無条件の愛情で接する
③甘い扱いはしない
マナーや礼儀、生活習慣をしっかり教え、威厳を持って守らせる
■著者が30年かけてたどり着いた「克服の3ステップ」
①規則正しい生活をする
「健康な心は、清潔な身体から育つ」「毎日、行く所がある」ことが大切。
②自立して自信をつける
「役割が人を成長させる」
学年を越えた関係を築く。学年の縛りは必要ない。年齢の比較をなくして自信を付ける。
同じ学年ばかりだと比較して、引け目を感じて、自信を失う。
③社会貢献をする
役に立つという体験を重ねる
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