「30の発明からよむ世界史」池内了監修(日経ビジネス文庫)
- 2020.06.02
- YORIAI通信
「身の回りのものにはすべて歴史がある」。その中でも、人類の歴史を左右する発明の30選です。それを列挙していきます。
- 酒(BC6000)。最初は栄養摂取や、殺菌消毒が目的だった。しかし、次第に嗜好品になっていった。
- 船舶(BC5500)。「海の向こうには何があるか」の好奇心に応えるために造られた。やがて輸送、戦闘に利用されるようになった。
- 車輪(BC4000) 人類黎明期の三大発明は、火、言語、車輪。この三つが文明を生み出すきっかけになった。車輪は、メソポタミア発祥で、運搬に革命をもたらした。戦争にも戦車として用いられるようになった。(ちなみに聖書で最初に登場するのは創世記 41:43で、エジプトの「ファラオの第二の車」にヨセフが乗る場面である)。
- 文字(BC3000)「これは俺の所有物」というサインが文字の始まりと考えられている。文字が造られたことで、シュメール文明には「契約」が登場した。文字として成立した最も古いもの漢字であり、最も数の多いのも漢字で10万字をはるか越える。
- 時計(BC3000)古代エジプトで、月や太陽の動きから月、年という時間を区分する暦法が誕生した。次いで、日時計が使われるようになった。
- ガラス(BC2500)。メソポタミアで製法が確立した。AD3、4世紀ごろのローマで窓ガラスが登場した。
- 鉄器(BC2500) ヒッタイト文明で鉄の精錬技術が確立した。
(ヒッタイトは、聖書ではヘテ(ヘト)人。鉄は、武器、農業用具として、戦争や農耕を左右する重大な役割を担った)。 - 硬貨 (BC600代)・紙幣(1023年)経済の発展に寄与し、物や人間の価値基準となる。
(価値の共同幻想であるが、人類の繁栄と文化発展を促した) - 道路(BC312)本格的道路はローマ帝国が最初である。道路を作らなかった文明は発展が阻害されたが、作り過ぎたローマ帝国はかえって衰退した。道路の維持費用がかさみ財政難、外敵の侵入を許すことになったため。
- 紙(BC150ごろ) AD105年、中国の蔡倫が発明。それ以前に作られていた紙も中国で発見されている。記録用から建材用として使われる。エジプトのパピルスは繊維を絡ませていないので厳密には紙ではない。
- カラトリ―(AD3C) ナイフ、スプーン、フォークの順に発明。ローマ帝国発祥である。キリスト教では「神が給う食事では、神が与えてくださった指を使うのが正しい」とされ、切り分けるためのナイフを除き、道具を使うことはなかった。
- 羅針盤(AD3Cごろ)中国で発明された方位磁石と羅針盤は、13世紀の大航海を可能にした。地球は大きな磁石であることが発見されたのは、1600ごろのことである。
- ゴム(6Cごろ) 消しゴム、タイヤに使われた。戦争で研究が進み、19世紀後半には合成ゴムが開発された。
- 銃(1000年頃) 中国唐の時代、火薬兵器が登場した。それが中東から西欧に伝わり、銃、大砲の技術が発展した。文明を滅ぼし、「戦争の大衆化」を促進することになった。
- ロケット(10~12世紀) 戦争の兵器、宇宙へ飛び出す科学技術として発展していく。
- 眼鏡(13世紀後半) イタリアで老眼の補正器具として登場した。日本にはザビエルが持ち込む。眼鏡の鼻当ては日本人が考案した。
- 海図(13世紀末) 目印の遠洋航海で唯一頼りになった道具である。地図はギリシア時代に作られている。
- 活版印刷(1445) ドイツのヨハネス・グーテンベルグが金属活字の印刷術を発明した。羅針盤、火薬と共に、ルネッサンス期の三大発明。文芸復興、宗教革命の拡大に貢献した。中国では1041~48年、畢昇(ひっしょう)が粘土活字による印刷を始めている。石板、木版印刷は、13世紀の中国で始まった。現存する世界最古の印刷物とされるのは、法隆寺に保存される経文(770年)である。
- 望遠鏡(1600前後) オランダ周辺で誕生。戦時の洋上監視、天文観察に使用された。
- 蒸気機関(1769) 英国ジェームズ・ワットによって発明された。産業革命を起こし、資本主義社会を生み出す原動力になる。
- 電池(1800) 原理はイタリアの医師ガルヴァーニによる。乾電池は、日本の屋井先蔵が発明した(1885)。入試に遅刻して受験できなかった失敗が開発の原動力になった。
- 自動機械・ロボット(1804)
- 鉄道(1825)
- ダイナマイト(1867) スウェーデンのノーベル
- プラスチック(1869) 米国でセルロイドが発明され、衣食住に変化をもたらした。
- 電話(1876) 1840年モールス式電信、ベルとグレイの電話機が嚆矢である。NY在住イタリア人メウッチが最初の電話を作ったとされる(1854)。
- 飛行機(1903) 15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチの設計図から始まる。ライト兄弟が動力飛行に成功した。日本では、琉球王国の安里周當(飛び安里)が1780年に滑空機で空を飛んだという記録がある。
- ペニシリン 英国のフレミングによって発見され、細菌感染症から千万の命を救う特効薬となった。
- 半導体(1948)
- コンピュータ-(1973)
<あかしあの木ひろば・主宰者からひと言>
これらの発明が、人類の文明を発展させた。世界を広げ、生活を便利で豊かにし、自然の束縛から解放させた。その一方で、戦争の道具となり、貧富の差を増大させて、階級・身分差別を生み出し、また自然破壊を拡大させることにもなった。
罪が支配する世界においては、便利な道具の発明は、人類を破滅へと導くことにもなる。
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