契約の民のしるし、割礼
- 2020.06.12
- 三つのテーマで読む創世記(下)
創世記17章9-14節
「あなたがたの中のすべての男子は割礼を受けなさい。あなたがたは、あなたがたの包皮の肉を切り捨てなさい。それが、わたしとあなたがたの間の契約のしるしである。
……わたしの契約は、永遠の契約として、あなたがたの肉の上にしるされなければならない。」(10、11、13)
割礼は、主がイスラエルとの間に結ばれた契約のしるしです。割礼を受けていることは、「契約の民」となっていることのしるしです。主に祝福された者となり、また世界を祝福する者になることの証印です。
割礼は、命の源を象徴する部分に傷を作ることから、契約には命がかかっている、あるいは命をきよめるという意味があるなどといわれます。また、また衛生のためでもあるという説もあるようです。しかし、創世記が語っている割礼の最も重要な意味は、「契約のしるし」です。
アブラハムは、その日のうちに全員に割礼を施しました。契約のしるしが「肉の上」に記されました。滅びる肉の上に永遠の契約のしるしが刻まれるのです。アブラハムは肉体で地上を歩みます。割礼は服で隠されているので、外見上、アブラハムは他の誰とも変わりません。しかし、確かに主と結ばれて生きるのです。
私たちは、キリストによって新しい契約を結びました。新しい契約は、アブラハム契約の延長線上にあります。信仰によるアブラハムの子孫である異邦人クリスチャンは、イスラエルと同じ「契約の民」となり、アブラハムの祝福と務めを受け継ぎます。そのしるし(保証)として、肉の割礼ではなく、聖霊が心に刻まれます(エレ31:33)。パウロが語る「御霊による、心の割礼」(ロマ2:29)です。服を脱いでもわかりません。しかし、確かに「約束の聖霊をもって証印を押され」(エペ1:13)ているのです。
ところで、割礼を受けたのは、アブラハムとイシュマエルだけではありませんでした。アブラハムの家のすべての男子が、奴隷であれ在留外国人であれ、受けました。彼らも「契約の民」、イスラエルの共同体の中に入れられ、主の祝福に与るのです。アブラハムの時から、異邦人も割礼を受けることで「契約の民」に入れたということです。異邦人も信仰によってイスラエルに接ぎ木されるという原則は、パウロを待たずとも(ロマ11:24)、最初からあったことになります。
アブラハム契約は無条件の契約です。15章で見た通り、その約束は主ご自身が成就されます。アブラハムのなすべきことは何か。それは、主が成就されることを信じ、割礼を受け、主に信頼していくことです。それは、私たちも同じです。新しい契約は、無条件の「永遠のいのち」の契約です。私たちが永遠のいのちを得る条件は何か。それはキリストを知り、信じ、信頼していくことです。
アブラハムとイエス・キリストはつながっています。系図でも契約でも永遠のいのちの祝福でも、つながっています。
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