アブラハム・サラから契約の継承者イサクが生まれる
- 2020.06.15
- 三つのテーマで読む創世記(下)
創世記17章15節-18章15節
「サラはなぜ『私は本当に子を産めるだろうか。こんなに年をとっているのに』と言って笑うのか。主に不可能なことがあろうか。わたしは来年の今ごろ、定めた時に、あなたのところに戻って来る。そのとき、サラには男の子ができている。」(18:13、14)
アブラハムがカナンに導かれて25年、99歳になったとき、主なる神は初めて「全能の神」として現れ、アブラハムとサラの間に男の子が生まれることを告げられました。祝福の契約は、アブラハムとサラの間に生まれた子によって継承されていかなければならないのです。
なぜ二人の間の子でなければならないのでしょうか。
それは第一に、契約は、本来、アブラハム・サラ夫婦に子供が与えられることを前提にして結ばれたものだからです。契約の継承者は、主に選ばれた者でなければなりません。主は、アブラハム・サラという「一体となった夫婦」を選ばれました。唯一なる神を知ったアブラハム夫婦が、神の祝福を全民族にもたらすためには、二人の間から生まれた子がその祝福の契約を継承しなければなりません。その選びの子がイサクであり、イサクの子孫が契約を継承するのです(19)。イシュマエルではありません。
第二に、アブラハムを選ばれた神が「全能の神」であることを示すためでもありました。不妊のサラから生まれるイサクは「キリストの型」です。処女マリアから超自然的に生まれた神の独り子に似ています。天使ガブリエルがマリアに告げた、「神にとって不可能なことは一つもありません」(ルカ1:37)という言葉は、サラにも成就していたのです。そして、アブラハム・サラが神に選ばれた夫婦であるように、ヨセフとマリアも「ユダ族」のダビデの子孫に属する、神の選びの夫婦でした。
イサクは、全能の主が全人類に祝福を注がれる「初穂」でした。唯一全能の神が、救いの祝福を全人類に広げようとしておられることを表わす「初穂」です。
ところで、アブラハム、イサクから出るイスラエルは、唯一無二の特殊な民族です。第一に、神が、アブラハムとサラという一組の夫婦によって創始された民族です(12章)。第二に、契約で一つになった永遠の「契約の民」です。イスラエルのアイデンティティは契約にあります。他の民族のように、同じ領土や歴史や文化で一つになった民族ではありません。逆です。契約によって一つになったイスラエル民族が、領土を獲得し、歴史を創り、文化を育んでいったのです。神は、領土と歴史と文化を持つ既存の民族を選ばれたのではないのです。第三に、神の国の祝福を世界に広げるという使命のために選ばれた民族です。第四に、その契約を成就し、神の国を完成するキリストを生み出す民族です。これがイスラエルです。
そして、教会も新しい契約によって、新しく創られた「契約共同体」です。キリストによって生み出された「キリストの体」です。聖霊によってイスラエルと異邦人のクリスチャンが一つとなった「神の家族」です。そうして、神の国の祝福を世界に広げるのです。
すべて、アブラハムとサラから奇跡の子が生まれることで始まった主の計画です。
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