祝福を受け継ぐのはイサク

祝福を受け継ぐのはイサク

創世記21章8—21節
神はアブラハムに仰せられた。「その少年と、あなたのはしためのことで、悩んではならない。サラがあなたに言うことはみな、言うとおりに聞き入れなさい。イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるからだ。しかしはしための子も、わたしは一つの国民としよう。彼もあなたの子だから。」(12-13)

アブラハム契約の祝福を誰が受け継ぐか。それはとても重要なことです。受け継ぐ者が、世界のすべての民族を祝福する役割を担うことになるからです。

アブラハムには、女奴隷ハガルから出たイシュマエルと、正妻サラとの子イサクがいます。ここで主はアブラハムに告げられます。「あなたの子孫はイサクによって伝えられる」。

イサクは「約束の子」、イシュマエルは「約束外の子」です。イサクは選ばれて生まれた子、イシュマエルは人間の思惑で生み出された子です。イサクは90歳のサラから生まれた奇跡の子、イシュマエルは「肉によって生まれ」た子です(ガラ4:23)。アブラハム契約を継承するのは、約束の子イサクです。イサクがその祝福を神の民イスラエルへと引き継がせます。

一方、主はイシュマエルもアブラハムの子であるがゆえに「一つの国民」(13)、「十二人の子を生む」(17:20)「大いなる国民」(21:18)にすると約束されました。主はイシュマエルとともにおられました(20)。彼も主の祝福を受けてはいたのです。しかし、ロトと同じく、イシュマエルも「選ばれていない者の道」を自ら歩み始めます。エジプト人ハガルは追放されたのち、イシュマエルにエジプトの女を妻として選びました(21)。ハガルは、アブラハムの信仰を受け継いではいません。信仰の目は開かれず、アブラハムの子を産んだことの意味が理解できてはいなかったのでしょう。

イシュマエル人はエジプトに近いシュル付近に居住し、「自分のすべての兄弟たちに敵対」(25:18)します。もちろん、イサクの子孫イスラエルとも敵対することになります。イスラエルの十二部族に対し、イシュマエルの十二部族として登場するのです。まるで表と裏、光と影のようです。

前述したとおり、やがてアラブ人がイシュマエルの子孫だと主張するようになります。根拠は聖書にもコーランにもありません。しかし、イスラムは、イサクではなくイシュマエル(イスマイール)こそがアブラハム契約の継承者であり、アブラハムが神(アッラー)に捧げたのもイシュマエルだというのです。アブラハムとサラが、イスラエルとイスラムの対立の遠因を残してしまいました。

アブラハム夫婦は「約束の子イサク」を待てませんでした。人間の思惑や手段で早まったことをして「奴隷の子イシュマエル」を生んだがために、後世に禍根を残しました。サタンの国の勢力に付け入るスキを与えてしまったのです。「約束の子」を主に期待し、忍耐して待つ。「奴隷の子」を残すようなことはしない。これが、この出来事からの教訓です。

しかし、たとえイシュマエルの子孫がアラブ人だったとしても、また、ユダヤ人とアラブ人が対立を続けるとしても、終わりの日には、イサクの子孫とイシュマエルの子孫も、ともにキリストの十字架を仰いで和解する日が来ます。