祝福された者は祝福する
- 2020.07.13
- 三つのテーマで読む創世記(下)
創世記21章22-34節
そのころ、アビメレクとその将軍ピコルとがアブラハムに告げて言った。「あなたが何をしても、神はあなたとともにおられる。それで今、ここで神によって私に誓ってください。私も、私の親類縁者たちをも裏切らないと。そして私があなたに尽くした真実にふさわしく、あなたは私にも、またあなたが滞在しているこの土地にも真実を尽くしてください。」(22、23)
ペリシテ人のゲラルの王アビメレクが将軍ピコルを連れて、アブラハムを訪問します。アビメレクはアブラハムに、「あなたが何をしても、神はあなたとともにおられる」ことを認め、契約を結ぶことを求めます。両者の力関係が逆転するほどに、主はアブラハムを祝福されていたのです。
アブラハムは求めに応じ、アビメレクと契約を結びます。結ぶにあたり、アブラハムは神に祝福された者として臨みます。
まず、アビメレクがアブラハムに真実を尽くしたこと(20章)を認め、アブラハムもアビメレク一族と土地に真実を尽くすことを誓いました。
次に、アブラハムはアビメレクに、彼のしもべが奪った井戸のことで抗議します。アビメレクの返答は「知らなかった」でした。井戸は沙漠の生命線です。知らないはずはないだろうと思います。しかし、アブラハムはそれ以上のことは問いませんでした。「知らなかった」で赦します。アブラハムにとって重要なのは、アビメレクに非を認めさせることより、アブラハムが井戸を掘ったことを認めてもらうことでした。「相手は知らなかったのだ」で受け入れる寛大さは、主に祝福されているものの余裕です。キリストの寛大さを見るようです。
そして、契約を結ぶために羊と牛を差し出します。さらに、誓いのしるしとして、アビメレクに7頭の雌の子羊を渡します。それは、アビメレクを祝福することでもありました。雌の子羊によって、アビメレクの家に羊がどんどん増えることになるからです。井戸を奪われていたアブラハムが、和解のしるしとして、奪っていた者アビメレクに贈り物をするのです。これが主と祝福の契約を結んでいる者のあり方です。祝福されている者は祝福するのです。
両者が誓った所は、ベエル・シェバ(七つの井戸、誓いの井戸)と呼ばれるようになります。アブラハムはそこに柳(タマリスク)の木を植え、主の御名を呼び求めました。主を礼拝することで、アビメレクとの対立関係を平和に完結させたのです。これが、主がともにおられる者の生き方です。
主は、選ばれた者の信仰を異教の地で育てられました。柳の木は、主の真実を覚える記念です。アブラハムは、主との契約に生きる信仰を新たにしました。
私たちはキリストによって新しい契約に入り、神の国に暮らしています。五感で触れる世界は異教であっても、その価値観に流されず、主からの祝福で世を圧倒することが期待されています。
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