祝福の契約の継承者イサクの妻
- 2020.08.03
- 三つのテーマで読む創世記(下)
創世記24章
私はあなたに、天の神、地の神である主にかけて誓わせる。私がいっしょに住んでいるカナン人の娘の中から、私の息子の妻をめとってはならない。あなたは私の生まれ故郷に行き、私の息子イサクのために妻を迎えなさい。(3-4)
一四〇歳のアブラハムは、四〇歳になった息子イサクに妻を迎えようとします。ただの結婚ではありません。何しろ、創造主なる神と契約を結んでいるのは、アブラハムの家族だけなのです。しかも、契約の継承者はイサクただひとりです。一家は異教の神々を拝むカナンの地、偶像崇拝の民族の中に寄留しています。そんな危うい環境にあって、唯一なる神と結んだ祝福の契約を継承させ、「契約の共同体」を堅持しなければなりません。アブラハムは慎重にイサクの妻を選ぼうとします。
イサクの嫁の条件は二つです。一つは、アブラハムの故郷の親族であることです。カナン人の女であってはなりません。異教の民と契約(婚姻関係)は結んではならないのです。異教の女と結婚すれば偶像礼拝がアブラハム一族に入り込むことになります。しかし、アブラハムの故郷に住む兄弟一族は、カナンの偶像神に馴染んでいない人たちです。
もう一つは、「約束の地」に住むことです。アブラハム一族は、主が「あなたの子孫にこの地を与える」と約束された土地で暮らします。そこから離れることはできません。アブラハムは祝福の契約と「約束の地」をイサクに受け継がせなければならないのです。
つまり、アブラハムの神、唯一真の神を信じ、約束の地に住むことが絶対条件です。目先の損得勘定からすれば、地元カナンの一族と婚姻関係を結んだほうが安全保障となり、良い地歩を築けるでしょう。しかし、主の祝福は失うことになります。主に選ばれた者アブラハムは、「カナン人の女と結婚しても大丈夫だ。唯一神信仰は守れる」などと軽々しくは考えません。それは選ばれていない者たちの考え方です。事実、選ばれなかったロトやイシュマエルやエサウらは、異教の女たちを妻とし、祝福の契約から外れた道を歩んでいきました。
サタンは、将来「女の子孫」(3:15)を生み出すことになる主の選びの民を滅ぼそうとします。その戦略の一つが、主の民を異民族に同化させることです。異教の文化の中に取り込み、偶像礼拝に妥協させ、主との契約を忘れさせ、主の民のとしての特殊性を喪失させるのです。選びの民というのは、常にこの危険にさらされています。いつも祭壇を築き、唯一なる神を礼拝していないと、いつのまにかサタンの策略にはまり、普通の偶像礼拝の民に堕してしまいます。
アブラハムはこの危険性をよく認識して、賢明な行動をとりました。祝福を継承させ、諸民族の祝福の源となるというレールに、イサクを確実に乗せようとします。契約共同体の将来を決定付ける結婚という重大事において、絶対に妥協しないという姿勢を示したのです。
この厳しさと慎重さが信仰者の祝福を守ります。
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