エサウと子孫エドムの歴史
- 2020.09.21
- 三つのテーマで読む創世記(下)
創世記36章
エサウは、その妻たち、息子、娘たち、その家のすべての者、その群れとすべての家畜、カナンの地で得た全財産を携え、弟ヤコブから離れてほかの地へ行った。(6)
エサウは、エドム人とアマレク人の先祖です。エサウが長子の権利を売ったため、エサウの子孫は、主の選び(祝福の契約)から外れました。ヘブル書は、「一杯の食物と引き替えに自分のものであった長子の権利を売ったエサウのような俗悪な者がないようにしなさい」(12:16)と警告します。
繰り返し述べているように、選ばれなかった者は、選ばれなかった者の道を選択していきます。そうして、選ばれなかった者であることを証ししていきます。
まず、エサウは異教の女たちを妻にしました。ヘテ人やヒビ人の女、イシュマエルの娘と結婚し、イスラエルと敵対する民族と縁を結びます。エサウの子孫はヤコブから離れ、セイルの山地に住み着きました(27:39)。セイルの山地は、「塩の海(死海)の南に位置し、砂漠地で豊かな作物は期待できません。それゆえ戦闘的な民族となっていきます。
また、選ばれなかった者は、選ばれた者を妬み、ひがみ、憎しみ、敵対する傾向があります。イシュマエルの子孫もそうですが、エサウの子孫も契約を受け継いだイスラエルと敵対するようになります。セイルの山地で強力な民族となったエドム人は、出エジプトしてカナンに向かっていたイスラエルを、モーセの嘆願にもかかわらず、通らせようとはしませんでした(民20:14-21)。また、エサウの子エリファズから出たアマレク人(36:12)は、出エジプトしたばかりのイスラエルに攻撃を仕掛けています(出17:8レフィディムで戦い)。
それゆえ主は、「肉親の情を損ない、怒り続け」るエドム人に対しては「刑罰を取り消さない」(アモ1:11)と言われ、預言者らも裁きを宣告しています(イザ34:5-17)。主はアマレクに対しては、「わたしはアマレクの記憶を天の下から完全に消し去ってしまう」(出17:14)と断罪しておられます。実際、両民族は衰退していきました。
しかし、イエスと教会の時代になると、エサウの子孫が、「神の国」の到来を阻止すべく、再登場してきます。ヘロデ王家(イドマヤ人)です。ヘロデ一族は代々、キリストと教会を迫害します。ヘロデ大王は幼子イエスを殺害しようとし、ヘロデ・アンティパスはバプテスマのヨハネを殺し、孫ヘロデ・アグリッパ1世は使徒ヤコブを殺害しました。
選ばれなかった非ユダヤ人が選ばれたユダヤ人を、妬み、憎しみ、敵視するという傾向は今日も変わらず、反ユダヤ主義となって世界に広がっています。しかし、それは主に敵対することです。非ユダヤ人には、非ユダヤ人のためのキリストによる選びがあり、信仰によるアブラハムの子孫として、ユダヤ人と共に祝福を受け継ぐことができるのです。
最後に、ヘロデ家から、パウロと共に神の国ために働く者が出たことも記しておきましょう。ヘロデオンです(ロマ16:11)。この人はキリストに選ばれ、妬みやひがみを克服した者です。
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