ユダ族がイスラエルの主流となる起源

ユダ族がイスラエルの主流となる起源

創世記38章をお読みください。
ユダはこれを見定めて言った。「あの女は私よりも正しい。私が彼女にわが子シェラを与えなかったことによるものだ。」それで彼は再び彼女を知ろうとはしなかった。(26)

ユダはイスラエルのユダ族の先祖です。アブラハムからイシュマエルではなくイサクが、イサクからエサウではなくヤコブが選ばれ、ダビデからキリストにつながる家系としては、ヤコブから四男のユダが選ばれました。ヤコブ最愛の息子であり、ヤコブ一族を飢饉から救ったヨセフではないのです。

ユダは、母レアが「主をほめたたえよう」と言って付けた名です。生まれた時から、主に選ばれていたと思わせる名前です。そして、選ばれた者としての行動をとっていきます。

37章で、弟ヨセフへの激しい憎悪と殺意に燃える兄弟たちを制し、奴隷に売ることで妥協させ、なんとかヨセフのいのちを救ったのはユダでした。

43、44章では、ユダは父ヤコブに対しては、ヨセフの同母弟ベニヤミンの保証人となり、エジプトで宰相のヨセフに対しては、自分がベニヤミンの身代りになると申し出ます。このユダの行動に、キリストにつながる自己犠牲的姿勢を見ることができます。ユダは父ヤコブのこと、そして一族全体の存続のことを考えていたのです。

ところが38章では、ユダは長男エルの嫁タマルとの間に、羞恥に耐えない事件を起こしています。朗読するのが憚れるほどです。

ユダは、エルが子を残さず死んだことで、レビラート婚の慣習に従い、次男オナンをタマルと結婚させますが、オナンも主を怒らせて死にました。三男シェラをも失うことを恐れたユダは、「シェラが成人になるまで待て」と、タマルを実家に返します。

そのまま放置されていたタマルは、舅ユダがティムナに来ていると聞くと、遊女の姿になって舅を待ち伏せます。ユダは案の定、自ら誘われ、タマルとは知らずに彼女の所に入りました。ポティファルの妻の誘惑に勝ったヨセフとはまったく対照的です。

約三か月後、タマルが売春して妊娠したと聞き、ユダは「あの女を引き出して、焼き殺せ」と激怒しました。聖書の中でも最も激しい「裁きの言葉」です。しかし、タマルが送った証拠の品々で、その相手が自分だと知らされたとき、「あの女は私よりも正しい」と即座に自分の非を認めました。聖書の中でも最も率直な「悔い改めの言葉」です。ユダは畏れるべき方を知っていたのです。

売春をしたタマルにも罪はありますが、ユダは自分の罪をタマルに転嫁するようなことはしませんでした。沈黙に逃げず、言い逃れもせず、自分の罪を告白しました。ユダの悔い改めの真実さは、「再びタマルを知ろうとは、しなかった(男女の関係を持たなかった)」ことからもわかります。ユダのこの姿勢が、イスラエル一族の祝福につながっていくのです。この悔い改めの早さは、バテシバ事件を起こしたダビデ王にも受け継がれます(Ⅱサム12:13)。ダビデはユダの子孫です。