アブラハムの子孫ヨセフがエジプトに祝福をもたらした
- 2020.10.05
- 三つのテーマで読む創世記(下)
創世記40、41章をお読みください。
パロはヨセフに言った。「神がこれらすべてのことをあなたに知らされたのであれば、あなたのように、さとくて知恵のある者はほかにいない。あなたは私の家を治めてくれ。私の民はみな、あなたの命令に従おう。私があなたにまさっているのは王位だけだ。」(41:39-40)
主はヨセフと共におられます。主が共におられるところには、主の支配(神の国)があり、主が「時」を計り、選んだ人を用い、計画を進めていかれます。
まず、主がエジプトのパロ(ファラオ)の献酌官と調理官をヨセフと同じ監獄に置き、二人に夢を見させられます。主はヨセフに彼らの夢を解き明かす力を与え、二人の夢はヨセフが解き明かしたとおりに現実となります。すなわち調理官長は処刑され、献酌官長は元の職に復帰しました(40章)。
それから2年後、主は、今度はパロに7年の豊作と7年の飢饉を予告する夢を見させます。エジプト中の呪法師も知者もその夢を解き明かせずにいたとき、献酌官長が獄中のヨセフのことを思い出しました。ヨセフは呼び出され、パロの夢を解き明かしてみせます。
パロはヨセフの力を認め、エジプトの宰相に任命しました。宰相ヨセフは、豊作の7年間で、後に来る7年の飢饉のために大量の食糧を蓄えて、エジプトを危機から救います。同時に、飢えに苦しむ近隣の諸民族にも穀物を供給しました。こうして、「約束の地」から奴隷として売られてきた「契約の民」へブル人が、ひとりで大文明国エジプトとその周辺の民族を祝福したのです(41章)。
主に選ばれた地方出身の小さい者が中央に押し出されて、大きな働きをするのは、聖書の法則の一つでもあります。ミデヤンの地にいたモーセしかり、羊飼いダビデしかり、人間イエスと弟子たちもそうです。
ところで、大飢饉から守られたのは、エジプトや諸民族だけではありません。いうまでもなく、ヤコブ一族も餓死の危機から救われました。後章で、一族はヨセフによってエジプトの地に導かれ、やがて「契約の民」として成長していくことになります。主がアブラハムに語られた通りです(17:13)。
主は、ヤコブ一族のおぞましい内紛を、「主の民は星の数ほどになる」という約束を成就するための起点として用いられました。
ヨセフの逆境を、「主の民が存続していく」ための機会として用いられました。
人の悪意や自然災害を、「主の民が諸民族の祝福の源となる」ための手段として逆利用されました。
ひとりの人の誠実と忍耐を通して、アブラハムへの祝福が実現していきました。
ヨセフが兄たちに売り飛ばされなかったら、そしてヨセフが共におられる神に忠実に歩まなかったら、起こりえなかった祝福です。ヨセフは「祝福の源」としての役割を見事に果たしたのです。このヨセフに、キリストの影を見ることができます。
私たちも信仰によるアブラハムの子孫として、「ヨセフ」を継承しています。
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