アブラハム、イサク、ヤコブの名で受け継がれる祝福
- 2020.10.26
- 三つのテーマで読む創世記(下)
創世記48章をお読みください。
それから、ヨセフを祝福して言った。「私の先祖アブラハムとイサクが、その御前に歩んだ神。今日のこの日まで、ずっと私の羊飼いであられた神。すべての災いから私を贖われた御使い。この子どもたちを祝福してください。私の名が先祖アブラハムとイサクの名とともに、彼らのうちにとなえ続けられますように。また彼らが地のまなかで、豊かにふえますように。」(15、16)
「神があなたをエフライムやマナセのようになさるように。」(20)
主はアブラハムに「全能の神」の名で現れ、祝福の契約を結ばれました(17:1)。その契約を受け継いだイサクも、ヤコブを「全能の神」の名で祝福しました(28:3)。そしてヤコブもヨセフに、「全能の神」によって祝福を受けたことを告げ(3、4)、その祝福をヨセフの二人の子マナセとエフライムに受け継がせます(15、16)。
こうして「全能の神」の祝福は、アブラハム、イサク、ヤコブから後世のイスラエルへと運ばれていくのです。すなわち、アブラハムの子孫は数が増え、カナンの地を永遠に所有するという祝福です。
さて、死期が近付いたヤコブは、ヨセフの二人の子マナセとエフライムを自分の養子とし、さらに弟のエフライムを長子として祝福しました。そして、レビ族を「イスラエル十二部族」から外して祭司の部族とし、ヨセフ族をエフライムとマナセの二部族に分けて加えたのです。
ヤコブが、「神があなたをエフライムやマナセのようになさるように」(20)とヨセフの子らを祝福した言葉は、今日もユダヤ人の間で使われる表現です。これも祝福継承の伝統といえるでしょう。大切なのは、まず主の祝福を伝えることです。
長子として祝福されたエフライム族は、ヨシュアやサムエルなどの優れた指導者を生み出し、ユダ族とともにイスラエルを二分するリーダーの部族となっていきます。族長ヨシュアはモーセの後継者となり、「約束の地」征服の大役を果たします。
そして、エフライム族が相続した地のシロが、イスラエルの宗教的、政治的中心となり、そこに預言者サムエルが育ち、やがてイスラエルを治めるのです。ユダ族のダビデがイスラエル統一王国を建てた後も、エフライム族は「北十部族」(実際には九部族)の中心でした。ダビデの子ソロモン王に対抗して北王国を建てたのは、エフライム族のヤロブアムです(この時から、イスラエルに呪いを残すようになりますが)。
ところで、ヤコブは一緒に生活したくないタイプの男だろうと思います。狡猾で自己中心的で優柔不断なところがあり、誠実と信頼性に欠けているように見えます。それでも主が選んだ器であり、主はヤコブを用いてご計画を進めていかれたのです。ヤコブは主に選ばれた者として、訓練される人生を歩みました。
最終的に,ヤコブは主に選ばれた者としての務めを果たしました。そして願った通り、アブラハム、イサクの名とともに唱え続けられることになります。
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