ステーション18 アメリカ移住(中)

ステーション18 アメリカ移住(中)

学びの進め方

ステーションリーダーは、ナチスドイツのホロコーストを生き延びた若者の役になります。彼はアメリカでの新生活を夢みて、移民船に乗っています。アシスタントは船長か船員の役になります。船の椅子に生徒たちが座ったら、自己紹介をしましょう。次の学びの進め方のうちどちらかを選んで使ってみてください。

進め方1

アメリカにいる従兄弟たちから受け取った「手紙」を読み上げて、話の一部を演じます。手紙には写真があり、それを参加者に回します。手紙と写真は、この章の最後のほうにある「写真についての説明」を読んで準備してください。

「写真についての説明」にある情報を使い、学びを進めます。2、3通の手紙を読み上げ、写真の何枚かをとり上げ、説明をしてください。

進め方2

「アメリカ移住」の写真を「情報」のセクションからコピーし、スライドショーを作ります。アメリカにいる従兄弟たちから受け取った写真という設定で、プロジェクターに映し出します。「写真についての説明」を使い、生徒たちがあなたといっしょに家族写真を見ているという設定にします。

 

雰囲気づくり

進め方1

生徒たちは夜の船のデッキであなたと知り合ったことにします。座るのは床でも椅子でもかまいません。部屋は少し暗くしますが、子供たちが回ってきた写真を見られる程度には明るくしておきます。

進め方2

夜の船のデッキという雰囲気を作るため、部屋はできるだけ暗くします。椅子は部屋の前のほうに向けて並べ、プロジェクターは部屋の後ろのほうに置きます。船長か船員の役のアシスタントは懐中電灯などを使い、生徒が座る場所を見つけられるように手伝います。

どちらの進め方でも使えるもの

インターネット販売などで、海の音、カモメの鳴き声、霧笛などが入った音源を購入し、リアリティを出すのもいいでしょう。The Dramatic Publishing Companyをお勧めします。メールアドレスは、plays@dramaticpublishing.comです。

 

衣装

進め方1

リーダーは、第二次世界大戦を生き抜いた若者を演じるために、古いぼろ服を着ます。若い女性の役なら、ゆったりとした長いセーター、ひざ下丈のスカート、暗い色のタイツを着用します。靴はスニーカーではなく、すり減って古くなった、ひもで結ぶタイプの靴にします。スカーフは頭に巻くか、肩にショールとしてかけるのがいいでしょう。

若い男性はゆったりしたセーターに、黒い織物かコーデュロイのぼろズボン、すり減った靴と分厚い靴下姿です。デニムはいけません。帽子は、古くて擦り切れている感じのものならどんなものでもけっこうですが、野球帽はふさわしくありません。

ステーションのアシスタントは、船長か船員を演じるために、暗い色のジャケット、ズボンを身に着け、船長なら船長用の帽子をかぶります。

進め方2

リーダーは生徒たちに見られないようにします。部屋を完全に真っ暗にするので、後ろのプロジェクターの隣に座ります。子供たちには、あなたの声は聞こえても、姿は見えないようにします。

 

写真についての説明

・写真1:あなたの従兄弟2人モシェとユダがアメリカに到着したときの写真です。

・写真2:従兄弟たちと同乗していた人々の写真です。男性、女性、子供たちが、暗く悪臭漂う船室に詰め込まれ、シャワーもラウンジもダイニングもなく、狭い寝台に寝ていたことを説明します。食事は、大鍋からお皿に盛られました。乗客はできるだけ長い時間をデッキで過ごしました。あなた自身の旅は、これよりはましだったが、やはり劣悪な環境であると伝えます。

・写真3:ニューヨークに上陸する時のもので、移民たちが船のデッキに押しかけている様子です。自由の女神を初めて目にしようとしています。

・写真4:船に乗って到着した他の人々の写真です。彼らの顔には不安と恐れが浮かんでいます。

・写真5:エリス島の大きな入国審査場の写真です。困難と恐怖の旅を終えた移民は、ここで入国手続きセンターでの審査に合格しなければなりません。全ての検査に合格できなければ留置され、ヨーロッパへ送還される人もいました。極度の不安の中、役人たちの「早く!走れ!急げ!」という叫び声が、何か国語もの言葉で飛び交います。移民たちは名札を服にピン留めされ、びくびくしながら、大迷路のような審査場を進まなければなりませんでした。

・写真6:入国審査の担当医師が、あなたのおばを検査している写真です。医師たちは、身体的・精神的に異常がないか、伝染病や感染症を患っていないか、チェックをしています。写真の医師は、トラコーマと呼ばれる目の病気がないか、ひとりひとりのまぶたをまくり上げ、中をじっと見ています。この医師は移民たちの間で非常に恐れられていました。移民が拘留される健康上の理由の半分が、トラコーマだったからです。全て大丈夫ということになれば、次の手続きへ行くことができます。

・写真7:あなたの従兄弟が船上で友だちになった人たちです。多くの場合、船には母子だけで乗っていました。まず父親がアメリカに渡り、定住の環境を整え、その後で残りの家族を呼び寄せたからです。母と子は、父親なしで大変な旅を乗り切らねばなりませんでした。

・写真8:エリス島での入国審査にパスし、身の回り品を持ち、アメリカ本土行きのフェリーを待っている移民たちです。

・写真9:あなたの従兄弟たちが住む家の前の街路で、混雑し騒音に満ちた通りに見えます。これからあなたは母親と一緒にそこへ行き、やっと安住できるのです。それは想像を絶する喜びです。

・写真10:あなたのおばとおじがアメリカで最初に住んでいたアパートです。