神の国の暮らし 挨拶④
- 2023.03.31
- 神の国の暮らし
「兄弟たち。あなたがたに勧告します。気ままな者を戒め、小心な者を励まし、弱い者を助け、すべての人に対して寛容でありなさい」(Ⅰテサ 5:14)
見知らぬ人へのあいさつ、隣り合わせた人へのあいさつ、隣近所の人とのあいさつは、時に思わぬ結果をもたらすことがあります。
スーパーマーケットで水を汲んでいたとき、小学4、5年生ぐらいの女の子から、「こんにちは」とあいさつされました。でも、その顔は私の記憶にはありませんでした。「この子、人ちがいしているぞ」と思いましたが、彼女は私の返事を待つかのように、にこっとしています。私は大急ぎで「ああ、こんにちは」と笑顔を返しました。それだけのことでした。でも、「この子、私が怖くないのだ。私って、こんな少女に声をかけてもらえる顔をしているのだ」と、とても嬉しくなりました(誤解でもいいのです)。このご時世なのに、中年の見知らぬおじさんにあいさつする勇気に感動しました。
あいさつとは、相手の存在を認めることです。私たちの社会は人に認められたいのに認められず、無視され、軽視されている人が少なくありません。気落ちした人、臆病になっている人には、「お元気ですか」のひとことでも、大きな励ましになるのです。むかし、こんな話を聞いたことがあります。思い出の古都で自殺しようと東京から新幹線に乗った男性が、隣席の人から「すみません、今何時でしょうか」と訊かれました。反射的に腕時計を見て「〇時ですが」と答えると、会釈とともに「ありがとうございます」ということばが返ってきました。ただそれだけのことで、彼は自殺を思いとどまり、名古屋から引き返しました。人とまだつながっている、誰かの役に立てたという微かな喜びが戻って来て、その人を生かしたというのです。
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