神の国の暮らし 感謝⑦
- 2023.05.05
- 神の国の暮らし
感謝はつながりを豊かにする 哲学者の中島義道さんは、日本人してはかなり徹底した無神論者です。私の立場とは正反対なのですが、彼の著書にはけっこう目を通しています。「裏返しに」に読むことによって、物事がはっきり見えたり、共感できたりすることが少なくないからです。そのタイトルをいくつか列挙しましょう。『人生に生きる価値はない』『私の嫌いな10の言葉』『私の嫌いな10の人』『不幸論』『醜い日本の私』『狂人三歩手前』『死の練習』・・・。
『私の嫌いな10の言葉』の中で、「感謝」に関して、自分は「感謝アレルギー」だと述べています。「感謝することも感謝されることもまっぴらである」。善を行うときもあるが、それは自分で勝手に行うのであり、それだけで気持ちがよく、すでに報われているのであって、人から感謝されるとむしろ居心地が悪くなる。だから、自分も感謝はしない、というのです。彼は「感謝が足りない」「感謝しろ」という人間がたまらなく嫌なようです。たとえば、親から「だれのおかげで大きくなったのだ」と言われたら「大きくならなかったら、だれが一番困るんだ」と言い返せばいい、と教えています。
無神論を一貫して生き抜く中島さんは、極めて分かりやすい人だとは思います。中島さんの本はけっこう売れており、信奉者も少なくありません。それらのタイトルからわかるように、彼は相当偏屈ですし、気難しそうです。それゆえ、妻と子から徹底的に嫌われ蔑まれていると自分でも書いています。でも、「その何が悪い」と言うのが中島さんです。
さて、聖書は「主なる神に感謝せよ」と繰り返し命じます。神がなしてくださった恵みのわざは、まことに偉大だからです。私たちのすべての感謝は神に対する感謝であり、人や物事に対する感謝も神への感謝が源になっています。それゆえ、神を信じないなら、感謝の心が生じなくても当然だと言えましょう。
私たちは聖書が命じる通り、すべてのことについて神に感謝します。感謝の思いを言葉や行いで表している人は、おのずと謙虚になっていきます。「苦い思い」が育たず、人を妬んだり憎んだりすることからも解放されます。自分中心な思いや損得勘定で動くことが減り、不平不満を口にすることなくなるでしょう。人とのつながりも広がり深まり、心豊かになっていきます。
感謝する人間が本を著すとするなら、中島さんの題名とは真逆です。『人生に生きる価値がある』『私の好きな10の言葉』『私の好きな10の人』『祝福論』『美しい神の国の私』『聖人三歩手前』『永遠の命の練習』となります。
感謝しない生き方と、感謝する暮らしでは、平和と豊かさがまったく異なることでしょう。
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