No.019 創世記3-11章 神の国とサタンの国の戦いの始まり
- 2020.01.01
- 三つのテーマで読む創世記(上)
3章から、地上でのサタンの国と神の国の戦いの歴史が始まります。
サタンの国(サタンの支配勢力)が「エデンの園」に侵入し、アダムとエバを神の国の祝福から引きずり出しました。人が支配を託されていた世界に罪と死が入り、人は神とのつながりを断たれます。
4章では、サタンの国が拡大していきます。
エデンの園を追放されたアダムの子カインが、最初の殺人(弟アベル殺し)を犯します。カインは主のもとから去って、罪と死が支配する町エノクを建てます。そして、カインの子孫レメクとその子供たちが、罪の文化、産業、経済社会を広げていくのです。
その一方で、カインに殺されたアベルは、主への捧げものによって神の国の源流を残し、アダムから新たに生まれたセツとその子エノシュは、主の御名で祈ることによって、神の国の流れを形成します。
こうして、カインとレメクが「サタンの国」の勢力、アベルとセツとエノシュが「神の国」の勢力を形成し、それ以後の世界を二分することになるのです。
5章では、神の国を継承するセツからノアまでの流れが示されます。しかし、サタンの国の死の支配はその流れにも浸透していきます。
次第に、セツの流れはカインの流れに飲み込まれ、サタンの支配が全人類に覆ってしまいます。そこで主は、人類を一旦洪水で滅ぼし、新たにノアの一族から神の国を再建しようとされます。それが6~9章で語られる「ノアの洪水」です。
しかし、大洪水でも、罪と死の支配は断ち切られませんでした。サタンの国の呪いは、ノアの末の子ハムの子孫によって継承されていきます。
10章では、ハムの子孫ニムロデが自らの力で、最初の権力を地上に築きます。そして、その勢力が、人間の栄光を表すべく、「天に届く塔」を建てようとします。バベルの塔です。サタンは、人間を世界の中心に置き、人間を用いてサタンの国を再興させようとしたのです。これ以降、サタンの国は、人間の知識と力による、人間の栄光のための王国として進展していくことになります。バベルの塔は、人間中心主義の起源です。
一方、主は、バベルの塔の企みを阻止するため、言語を混乱させ、人々を地の表に散らされます。人間中心主義の結果は、断絶、分断です。罪が言語と民族の壁をもたらすことになったのです。
11章は、ノアの子セム、ヤペテ、ハムから全土に広がった諸民族が語られます。そして、セム族から、新たに神の国の祝福を受け継ぐアブラハムが歴史に登場することが予告されるのです。
以上、3章から11章は、聖書の歴史が、神の国とサタンの国との戦いとして展開していくことを告げています。どの時代にも、この二つの国に属する勢力があり、その戦いが繰り広げられるのです。イスラエル、そして教会の戦いは、神の国に立つ「主の戦い」であり、戦う相手はサタンなのです。
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