No.022 サタンの国の起源
- 2020.01.08
- 三つのテーマで読む創世記(上)
創世記3章5節
あなたがたがそれを食べるその時、あなたがたの目が開け、あなたがたが神のようになり、善悪を知るようになることを神は知っているのです。
最初の人が「蛇」に誘われ、神の命令に違反したことで、人間もこの世もサタンの支配に入ってしまいました。今、「世全体は悪い者の支配下にある」(Iヨハ5:19)のです。
では、サタンはどこから来たのでしょう。聖書には明確には記されてはいません。
欧米の合理主義神学は、「完全な善である神が、悪であるサタンを造るのは自己矛盾である」「しかし、サタンが被造物ではなく、神から自立した悪であるなら、二元論に陥る」という問題を、人間の理屈で説明しようとしてきました。しかし、ヘブライ的な聖書理解は、そんな人間の論に合ように解決しようとはしません。神のあり方、神のなさることは、もともと人間の理解を超えていると受け止めます。つまり、神は善である、神は悪を創造されない、サタンは存在している、サタンは神から自立した悪ではない、ということがすべて事実として、そのまま受け入れるのです。
ただ、サタンの誘惑の仕方から、まずサタン自身が「神のようになる」ことを欲し、神に反逆したのだろうと推測されます。サタンには手下の悪霊や「使い」がいますから、天使の一部を誘って自分の王国を建てたようです。そして、その王国の計画に人間を組み込むために、自分と同じように神に反逆させたのでしょう。
また、サタンの起源は明瞭ではなくても、その性質や戦略・戦術は、聖書からはっきりわかります。
サタンの性質は高慢です。神の高みに上り、自分の栄光を求めて、支配領域(サタンの国)を広げようとします。嫉妬もサタンの性質です。自分が神のように崇拝されることを欲するサタンは、御子キリストがあがめられることを激しく妬みます。
サタンの戦略は、第一に罪の原理と死の力で、神と人間とのつながりにくさびを打つことです。そうして罪人を「一生涯死の恐怖につながれた奴隷」とします(ヘブル2:14、15)。
第二に、偽物の神と偽物の神の国で、本物の「神の国」に対抗することです。サタン自身が偽物の神です。偽の信仰、偽の希望、偽の愛を用意して欺き、多神教や偶像礼拝に導きます。そうして、真の神以外のもの(サタン自身)を礼拝させようとするのです。
第三に、神を排除した世界、神がいなくても機能する世界を作り上げることです。サタンは世の中を、人間の知性、科学、政治・経済の力だけで動くようにし、すべてを神なしで説明できるようにします。そうして、家庭、学校、社会、国家は、自らサタンの国の原理に服するようになるのです。
第四に、サタンの正体が見えない方法で、人々や社会を操ることです。「光の御使いに変装」(Ⅱコリ11:14)し、人々の善意を利用して「地獄」を作ることを得意とします。
では、サタンの目的は何か。破壊、滅び、虚無です。神が創造された世に死をもたらすことです。仮にこのゴールを達成し、死の世界を完成させれば、サタンは自分の存在意味を失います。癌細胞と同じです。サタンも、サタンの国も、罪人もひたすら、自滅と虚無に向かっているのです。
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