No.027 神に反逆した結果④ 生命の営みが苦しみとなり、労働が空虚になる
- 2020.01.20
- 三つのテーマで読む創世記(上)
創世記3章16、19節
女にはこう仰せられた。「わたしは、あなたのうめきと苦しみを大いに増す。あなたは、苦しんで子を産まなければならない。しかも、あなたは夫を恋い慕うが、彼は、あなたを支配することになる。」 また、人に仰せられた。「……土地は、あなたのゆえにのろわれてしまった。あなたは、一生、苦しんで食を得なければならない。土地は、あなたのために、いばらとあざみを生えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない。あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついに、あなたは土に帰る。」
善悪を知る木からとって食べたことは、男女それぞれに特有の苦しみを残しました。
まず、女の苦しみです。
一つは出産の苦しみです。女性の人生で最大の痛みです。死ぬのではないかと思うほどの苦しみに耐えなければ、命は生み出されません。
生みの苦しみは、出産のときだけでなく、何か新しく尊いものが生み出されるときにも生じるようになりました。「新しい契約」「新しい創造」(ガラ6:15)、「新しい人」(エペ4:24)、新しい天と地が始まるときもそうです。「私たちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なければならない」(使14:22)のです。しかし、神の国では、苦しみの後、出産のときと同様、大いなる喜びが起こります。
二つ目は、男に支配される苦しみです。男と女が一体となるという愛の関係にひびが入り、夫婦、家庭の祝福の崩壊が始まります。この苦しみはレメクのときに、男尊女卑、一夫多妻という様式で現実になります(5章)。女にとって激しい痛みであり、男と家族にとっても不幸です。
次に、男の苦しみです。
それは、労働の苦しみと虚無です。労苦して食うために働き、働くために食う。まるで労苦するために働いているようなものです。そして、死んで元の土に帰ります。土で造られ、土に戻る……人生にそれ以上の意味はなくなりました。努力して成功し、地位を獲得し、富を蓄え、名を馳せ、心と体を喜ばせても、すべて「無」に戻るだけです。人が何を地上で成し遂げても、何もかも死が飲み込んで、チリにしてしまいます。そして、忘れ去られます。生きていたときの自己満足も消え去ります。生きたことは、生きなかったことと同じになるのです。
『伝道者』は、この事態をこう描写しています。「空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。日の下で、どんなに労苦しても、それが人に何の益になろう。」「すべてが空しいことよ。風をおうようなものだ。日の下には何一つ益になるものはない。」「実に、日の下で骨折ったいっさいの労苦と思い煩いは、人に何になろう」(1:2、3、2:11、22)。
今日も、何のために生きているのかわからない、生きている意味も目的もない、という人が多いのは当然のことです。これが、神を無視し、拒絶して、「呪われた土地」にさまよう人間の有様です。そして、この「呪われた土地」こそが、サタンの国の姿なのです。
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