No.032 「人殺し」サタンの継承者
- 2020.01.31
- 三つのテーマで読む創世記(上)
創世記4章5b—8節
それで、カインはひどく怒り、顔を伏せた。そこで、主は、カインに仰せられた。「なぜ、あなたは憤っているのか。なぜ、顔を伏せているのか。あなたが正しく行ったのであれば、受け入れられる。ただし、あなたが正しく行っていないのなら、罪は戸口で待ち伏せして、あなたを恋い慕っている。だが、あなたは、それを治めるべきである。」しかし、カインは弟アベルに話しかけた。「野に行こうではないか。」そして、ふたりが野にいたとき、カインは弟アベルに襲いかかり、彼を殺した。
カインは、自分の捧げ物が受け入れられなかったことで、ひどく怒りました。主は、その怒りを治めなければ、罪に足をすくわれることになると警告されます。しかし、カインは主の警告を無視し、自分の不正を認めず、怒りを放置し、罪を育みます。「罪が熟すると死を生みます」(ヤコブ1:15)のとおり、カインは罪を熟させ、アベルを殺すのです。
カインは、警告を受けたとき、悔い改めるべきでした。しかし、無視しました。自分は正しくないことを告白し、自分の怒りが不当であることを認めるべきでした。しかし、心を頑なにしたカインはもう引き返せません。不当であると知りながら、怒りを収めようとはせず、殺意の「卵」を心の中で温め、孵化させたのです。
ところで、なぜカインは怒りを主にではなく、アベルにぶつけたのでしょうか。捧げ物を拒絶したのは主ではありませんか。アベルはカインに何か不正なことをしたわけでありません。実は、ここにこそ、人間の罪の起源があります。それは妬みです。カインは、アベルが正しくて、主に受け入れられたことが気に食わなかったのです。
妬みには、正当な理由がありません。相手が正しくて、非難すべき正当な理由がないとき、人は妬むのです。妬みが不当な憎しみとなり、怒りとなるのです。
妬み、怒り、憎しみはサタンの性質です。天使だったサタンは、おそらく神の御子の栄光を妬んで、悪魔サタンになったのだろうと推察されます。カインはそのサタンの性質を受け継ぎました。主イエスは「悪魔は初めから人殺し」(ヨハ8:44)だと言っておられますが、カインはその「人殺し」の最初の継承者となったのです。
サタンは決して悔い改めません。悔い改めないからサタンなのです。もし私たちが、自分は正しくないとわかっていながら、理屈をつけて自己正当化し、悔い改めないなら、サタンの道を歩んでいることになります。カインはその道をたどっていきます。カインは、いわばサタンの自己実現です。こうしてカインによって、「サタンの国」の流れが始まっていくのです。
主はその後も、カインに悔い改めの機会を用意されます。主に立ち返る道を示されます。もしそのとき、カインが罪を治めていたら、ノアの時代、主が人類を洪水で滅ぼさざるをえないほどに、罪が広がることはなかったでしょう。
さて、御子キリストを十字架につけて、罪と死を滅ぼされた主は、私たちに何度も悔い改めの機会を備えてくださっています。サタンの支配に下っていてはなりません。頑な心はサタンのしるしです。私たちはどんな瞬間にも、心を打ち砕いて、主に立ち返ることができます。
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