No.034 「サタンの国」の発展と繁栄
- 2020.02.07
- 三つのテーマで読む創世記(上)
創世記4章18—24節
レメクはふたりの妻をめとった。ひとりの名はアダ、他のひとりの名はツィラであった。アダはヤバルを産んだ。ヤバルは天幕に住む者、家畜を飼う者の先祖となった。その弟の名はユバルであった。彼は立琴と笛を巧みに奏するすべての者の先祖となった。ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅と鉄のあらゆる用具の鍛冶屋であった。……さて、レメクはその妻たちに言った。「アダとツィラよ。私の声を聞け。レメクの妻たちよ。私の言うことに耳を傾けよ。私の受けた傷のためには、ひとりの人を、私の受けた打ち傷のためには、ひとりの若者を殺した。カインに七倍の復讐があれば、レメクには七十七倍。」(19—24)
カインの子孫は、神を排除したエノクの町で、サタンの国の政治経済、産業、文化、教育を発展させていきます。特にカインから六代目のレメクは、二つのサタン文化を生み出しました。
一つは、一夫多妻、男尊女卑の文化です。
レメクはアダとツィラという二人の女を妻とし、神が定められた「二人の男女が一体となる」という結婚制度を壊しました。「アダとツィラよ。私の声を聞け」というレメクは、もはや女を対等とは見ていません。主がエバに予告された通り(3:16)、男が女を支配し始めます。男尊女卑は、唯一なる真の神を排除した文化から始まったことを忘れてはなりません。神の結婚制度の破壊(離婚、不倫や姦淫を含む)と男尊女卑が、これ以降、人間の不幸と呪いの源となります。そして、この文化は神の選びの民にさえも、浸潤していくことになります。
もう一つは、復讐の文化です。
レメクは「カインに七倍の復讐があれば、レメクには七十七倍」と宣言し、やられたら、徹底的にやり返す「報復の原理」を打ち立てました。暴力による恐怖の支配です。この復讐の文化も現代世界に定着しました。20世紀の米ソ冷戦時代の平和は、「報復の原理」でかろうじて持ち堪えました。近年、諸国が核兵器を開発するのも、「報復の原理」で自国の安全を守ろうとするからです。私たちの社会も、正義の名を借りた復讐の原理で成り立っています。不正や犯罪を慎むのは、(国家の)復讐を恐れるからでもあります。
さてレメクは、ヤバル、ユバル、トバル・カインの三人の子をもうけました。彼らはそれぞれ、牧畜業の先祖、音楽・サービス業の先祖、鍛冶屋・鉱工業の先祖となります。この第一次、二次、三次という三分野の産業が、神を排除した社会で発展し、繁栄していきます。それは利益追求だけを目的とした産業です。産業が悪いわけではありません。創造主を認めないことが悪いのです。
こうして、カインが主のもとを去って建てたエノクの町は、罪(法的犯罪だけではない)の温床のようになっていきます。すべて、カインが正しい捧げ物(礼拝)をせず、悔い改めなかったことから始まったのです。
これに対し、キリストは「悔い改め」による神の国の回復を宣言され(マル1:15)、復讐の原理に対しては、恵みの原理で罪の赦しをもたらされました。
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