No.038 ノアの洪水と神の国再興① サタンの国の勢力が地上を席巻
- 2020.02.21
- 三つのテーマで読む創世記(上)
創世記6章1—5節
主は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった。 (5)
地上には、セツ=エノシュの流れである「神の国」の勢力と、カインの流れである「サタンの国」の勢力とがありました。それが、ノアの時代には、「地上には悪が増大し,その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾く」(5)状態になりました。「サタンの国」が優勢になったというより、セツ=エノシュの流れは、「サタンの国」に完全に飲み込まれてしまったのです。
なぜ、両者は合流することになり、そしてカインの流れの方が圧倒したのでしょうか。
それは、セツ=エノシュの子孫もアダムから罪の性質を受け継いでおり、それがカインの子孫の罪の生活に共鳴したからだ、と考えられます。セツの子孫にとって、神を排除したライフスタイルが自由に思われ、魅力的に感じられたのでしょう。
つまり、神を無視した生き方のほうが、「主の御名によって祈る」セツの子孫の生き方よりも、影響力が強かったということです。セツの子孫は主とともに歩みきれず、「サタンの国」に引きずられていきました。
それは、現代も同じです。人間の体には「罪の法則」(新共同ロマ7:21)が巣食っていて、放っておけば、人間は自ずから悪に傾きます。「サタンの国」の快楽的ライフスタイルの方が人間の五感に訴える力があり、そして人間は感覚的に騙されやすいのです。
私たちは「神の国」の中にいても、この事実をわきまえておくことは大切です。自分自身の信仰の力を買いかぶり、罪の世界に入り込んでも大丈夫だと考えるなら、足をすくわれます。私たちの肉の体は罪の性質を受け継いでおり、「罪の法則」の虜になりやすいのです。目に、美しく耳に心地よく、体に快いものに弱いのです。
子育ても、「神の国」と「サタンの国」の戦いです。子供にも「罪の法則」が宿っていることを無視してはなりません。神のことばを繰り返し子供の心に刻み込み、「神の国」の価値観を教え込まなければならないのです(申6:6-7)。それを怠り、放置しておけば、「サタンの国」に取り込まれてしまいます。
私たちは、「神の国」にしっかりと根を張り、人生の土台を神のことばに据え、「神のすべての武具を身につけ」(エペ6:13)て、世の力と戦います。戦わなければ、勝利は確保できません。サタンの勢力の浸透を許します。そして、どんどん浸食されます。それゆえ、真理の帯、正義の胸当て、平和の福音、信仰の大盾、救いのかぶと、御霊の剣(神のことば)をいつも磨いておくのです。戦えば、勝利は約束されています。
*「神の子ら」(2) については、セツの子孫、天使などの説がありますが、いずれにせよ、セツとカインの二つの流れが一つになって罪が満ちたことには変わりありません。ただ、天使は結婚して子孫を残すようなことはしないし(ルカ20:34-36)、ユダヤの伝統でも、天使は子孫を繁殖させないものとされていました。また、遺伝子での生物学的な説明は、きわめてヘレニズム的です。
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