No.040 ノアの洪水と神の国再興③ 主は、神の国の復興をノアに託された
- 2020.02.28
- 三つのテーマで読む創世記(上)
創世記6章13—22節
そこで、神はノアに仰せられた。「すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ている。地は、彼らのゆえに、暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。 あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。(13、14)
主は暴虐に満ちた地を洪水で滅ぼされます。
神は人間をご自身に似せて創造し、祝福し、「非常に良かった」と宣言されたではないか。愛なる神がなぜ人類を地とともに滅ぼされるのか。よくこの疑問が呈せられます。しかし、本当はこう問うべきです。愛する人類を滅ぼさざるを得なかった神の痛みは、いかばかりか、と。人間には、到底思い計ることはできないでしょう。
それでも神は、人間を裁かれるときは、必ず逃れの道と救いを用意されます。どんな滅びが襲っても、必ず助かる者を残されます。そして、その「残りの者」に希望をつながれるのです。それがノアとその家族であり、彼らが造った箱舟でした。
主はノアと契約を結び、「神の国」とその民の復興を計られました。
主はノア夫婦、息子セム、ハム、ヤペテとその妻たち、そして各種類の生物のつがいを箱舟で救おうとされます。
「神の国」の復興は、ノアの主に対する信頼と忠実、忍耐と勇気にかかっていました。主はたった一人の信仰に、「神の国」を託されたのです。主は「神の国」の歴史において、未来を決定するような重大なことを、ひとりの信仰者に委ねられることが多々あります。選ばれた人たちは、危機的な状況にあっても、主の期待に応える信仰を発揮していきました。逆に言えば、彼らは、信仰の行いによって、自分が選ばれた者であることを証明していったのです。主に選ばれた者の信仰は、主の恵みによって全うされます。ノアはその先駆者です。
「ノアは、すべて神が命じられたとおりにし、そのように行った」(22)。
ノアとその家族は、陸地に箱舟を造り始めます。主に対する愚かなまでの信頼です。地は暴虐に満ちています。忍耐と勇気なしには遂行できません。ノアは長い歳月、主への従順を全うしました。
しかし、主はノアの時代の人々に、救いの機会を閉じられていたわけではありません。ノアたちが箱舟を建造する期間は、人々への滅びの警告と悔い改めの機会でもありました。しかし、彼らはそれに気づこうとせず、あるいは無視し、「ノアが箱舟に入るその日まで、食べたり、飲んだり、めとったり、とついだりしていた」(ルカ17:27)のです。自分のたましいについて思考停止状態に陥り、アダム以来の「あなたは、どこにいるのか」(3:9)という主の呼びかけにも耳を傾けなくなっていたのでしょう。
主は、「サタンの国」が地を覆うことを阻止し、「神の国」を復興しようとされます。しかし、人々は自らの意志で滅びを選び取っていきます。それは、今日も同じです。
-
前の記事
No.039 ノアの洪水と神の国再興② ノアは、サタンの支配する世で神とともに歩む 2020.02.24
-
次の記事
No.041 ノアの洪水と神の国再興④ 洪水の背後に示された神の国の計画 2020.03.02