No.041 ノアの洪水と神の国再興④ 洪水の背後に示された神の国の計画
- 2020.03.02
- 三つのテーマで読む創世記(上)
創世記7章
ちょうどその同じ日に、ノアは、ノアの息子たちセム、ハム、ヤペテ、またノアの妻と息子たちの三人の妻と一緒に箱舟に入った。彼らと一緒にあらゆる種類の獣、あらゆる種類の家畜、あらゆる種類の地をはうもの、あらゆる種類の鳥、翼のあるすべてのものがみな、入った。……それから、主は、彼のうしろの戸を閉ざされた。(13、14、16)
悔い改めの期間が過ぎ、救いの道が閉じられる日が来ました。箱舟が完成し、ノアたちが箱舟に入ると、主は戸を閉ざされました。主が閉ざされたのであって、ノアではありません。すべては主の意志なのです。ノア自身には権限はなく、ただ主に従うのみです。
聖書の記録は、常に主の視点を中心軸にして読むべきです。「ノアの箱舟」の出来事においてもそうです。神の人ノアの視点は、その次です。決して滅びゆく人々の視点を中心に読み解くべきではありません。ましてや、滅んでしまう人々に感情移入するなら、的外れな神批判となり、「神の国」の復興という主の遠大な計画を歪めてしまいます。
主は、神の国の再興計画を推進されます。すべての人に救いの道を用意し、悔い改めの期間も設けられます。しかし、「雨が降り始めてからでは遅い」のです。「戸」は開くだけでなく、閉じるためにもあるです。「見てごらんなさい。神のいつくしみときびしさを。倒れた者の上にあるのは、きびしさです。あなたの上にあるのは、神のいつくしみです。ただし、あなたがそのいつくしみの中にとどまっていればであって、そうでなければ、あなたも切り落されるのです」(ロマ11:22)。このことを忘れてはなりません。
ところで、箱舟はキリストの型であり、洪水はバプテスマの型です。
ペテロがこう語っています。「わずか八人の人々が、この箱舟の中で、水を通って救われたのです。そのことは、今あなたがたを救うバプテスマをあらかじめ示した型なのです」(Iペテ3:20、21)。
箱舟は、滅びゆく人たちに、主が差し出された救いの手でした。それは、キリストの十字架を指し示す型です。そして、ノア一族八人が水の中を通って救われたのは、バプテスマの型です。
主なる神は、創世記の3章15節の勝利宣言から始めて、独り子キリストを人として地上に送り神の国をもたらすという計画を、常に念頭に置いておられたことがわかります。このノアの箱舟、アブラハムが主と結んだ契約(12章)、独り子イサクをモリヤの山で捧げるという試練(22章)、ユダの行動(38、44章)、そしてヨセフの生涯などに、キリストの十字架と身代わりの死、復活、神の国の祝福の広がりが示されていきます。
「それら(すべての生き物)は、地から消し去られた。ただノアと、彼といっしょに箱舟にいたものたちだけが残った」(23)。この厳しい裁きの背後にも、キリストの十字架と復活の計画が推進されていたことを、心にとどめましょう。
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