No.050 神の国のまとめ 始まりは非常に良かった

No.050 神の国のまとめ 始まりは非常に良かった

創世記は起源の書です。起源が世界と人間存在の意味と目的を決定します。

神は、天地万物を創造し、人を神のかたちに、神に似せて造り、祝福し、すべては「非常に良かった」と宣言されました。これが「神の国」の出発点です。そして、豊かな環境と満ち足りる食物を用意し、地の生き物を養い治めるという役割(生き甲斐)を与えてくださいました。神が、存在するすべてのものの起源であり、万物の基準です(1、2章)。

しかし、人は神に反逆し、自分が神のようになることを欲します。何の不満もないはずなのに、最初の人アダムとエバは「蛇」に唆されて、「善悪の知る木」から取って食べます。その結果、死が世界に入ります。罪=死の支配の始まりです。(3章)

そして最初の殺人が起こります。アダムの子カインによる弟アベル殺しです。殺人者カインは「主の前を去り」、エノクという町を建て、神を排除した社会を形成します。さらにその子孫のレメクが、一夫多妻、復讐の文化を生み出します。一方、主はアダムからセツ=エノシュを生まれさせ、「主の御名によって祈る」人々の流れを始められました。(4章)

こうして、神中心の「神の国」と人間中心主義の「サタンの国」の戦いの構図が明確になりました。それは、「いのちの支配」対「死の支配」、「祝福」と「呪い」の戦いです。

人は自ら神とのつながり断ち切りました。神の縛りから解放されるはずだったのに、かえって自由を失い、「死の支配」に怯えるようになりました。自己中心になり、妬み、憎しみ、争い、壁を作り、孤独になりました。心の疚しさに苦しみ、生きる意味を喪失しました。こうして自分の知恵と力で、かえって死と呪いの悲惨な世界を作り上げたのです。

地は「サタンの国」の勢力に飲み込まれ、悪と暴虐に満ちるようになりました。そこで主は、ノアとその家族を除いて、地を滅ぼし、新たに「神の国」を再興されます。主はノアと契約を結び、新たに人と地を祝福されました。

しかし、アダムによって入った罪と死の力は、ノアの末息子ハム=カナンの流れに入り込みます。その流れから、最初の権力者ニムロデが登場し、人々は結集してバベルの塔を建て、人間の栄光を現そうとします。「サタンの国」、人間中心主義の復興です。主は言語を混乱させ、人々を地の全面に散らせることで、その企てを一旦、阻止されました。

「神の国」は、神に似た人間、安息日、創造主との交わり、豊かな環境、一人の男と一人の女の結婚という「非常に良い」もので始まりました。一方、「サタンの国」は罪と死の力で、その「非常に良い」ものにくさびを入れ、破壊していきました。そうして、恥辱、責任転嫁、労働の虚無、妬み、殺人、一夫多妻、男尊女卑、復讐、言語と民族の壁、暴虐を残したのです。

しかし、主は、すでに御子キリストによる「神の国」の勝利を宣言しておられます(3:15)。以後の歴史は、その御子を世に送り出すための準備として展開していくことになります。「神の国」に生きた人々が残した模範は、アベルの正しい礼拝を捧げる(自分自身を主に捧げる)、エノシュの「主の御名で祈る」、エノクの「神とともに歩む」ことで、創造主とのつながりを回復する、そしてノアの「主の慰めを与える」という暮らしです